バレンタインデー[3]

部屋に戻って、紙袋からチョコを出す。
白と銀のリボンに、真っ赤な包み紙・・・
あのときと同じラッピングだ。そして中身も同じだった。
四角くカットされた生チョコをひとつ、口に入れる。
何故か、涙があふれてきた。
甘くて、ほろ苦くて、でも口の中に溶けて広がると幸せな気分になる味・・・
バスケ部の部長としてお互い頑張った最後の試合も、文化祭も、
普段の学校生活も、俺はあいつが居たから頑張れた。
あいつが、ずっと俺を好きで居てくれたから頑張れたのかもしれない。
俺は決めた。受験が終ったらすぐ、プロポーズしようと。

受験当日の朝、俺と佳織は電車で受験会場へと向かった。
そして試験を終えた後、会場で俺はこう言った。
「なあ・・・ちょっと、飯食いにいかねぇ?」
「いいよ、私もおなかすいた・・・」
「俺、おごるよ」
「ありがと!」


オシャレなイタリアンの店に入って、俺達はピザとパスタを堪能した。
ここで告白しようと思ったのだが、どちらかが泣いてしまうと店に迷惑だろうと思ってやめた。
そして家に帰ろうとすると、佳織が足を止めた。
「ねえ・・・うち、寄っていかない?」
「・・あぁ。」
久しぶりに入る佳織の部屋、相変わらずシンプルで、
衣服などはシルバーラックに綺麗に収まっている。
「相変わらず綺麗にしてんなー。」
「そう?」
「ああ、俺の部屋なんてゴミだらけだしな・・・」
そんなことを言いながら、ソファに腰掛ける。CDを流し、佳織が隣に座った。
「・・・なぁ、佳織・・。」
「何?」
俺は上着のポケットから小さな箱を取り出した。中身はもちろん指輪だ。
「はい、これ」
「・・え?」
「その・・・・えっと・・か、佳織が・・、す、好き・・だ。
大学出たら、・・・その・・、結婚してほしい。」
佳織はかなり驚いている様子だったが、俺の肩にもたれ掛かってきた。
「あーあ・・・まだ大学に入学もしてないのに、将来の夢が叶っちゃった気分だよ・・・」
「え?おまえって○○(職種)になりたいっつってただろ?」
「違うよ・・・・その、えっと・・・賢ちゃんのお嫁さんになることだよ。」
その一言に愛らしさを感じた。俺は佳織を抱きしめ、「好きだ。佳織・・・愛してる」と呟いた。
佳織は泣き出した。
「待たせてごめんな、辛い思いさせて・・・・・」
「いいの、私・・・今すごく幸せだから・・・・。
ありがとう、賢ちゃん・・・・」

数週間後。
「賢ちゃん!!賢ちゃん、合格だったよ!!!」と、
封筒を持って俺の家にかけつける佳織。
俺は暗い表情で跪き、「ごめん、俺・・・俺・・・・・・、」と言う。


「え・・・・賢ちゃん、・・・・・まさか・・・・・・・」
佳織の声が震えている。
「賢ちゃん・・・なんか言ってよ、ねえ。ねえ!嘘でしょ!?嘘だよね!?」
「ああ。嘘だ(笑)。」
合格通知を見せる。
佳織は嬉しいんだかむかつくんだか、って感じの微妙な顔で俺を睨んで、
近所中に響き渡るんじゃないかと思うほど大きな声で
「賢ちゃんのバカ!!!!!!!!!!」と叫んだ。

そんなに遠いわけでもないんだが、自宅から大学まで距離があるため、俺達は部屋探しを始めた。
「ねえ、ここどう??家賃も間取りもいい感じだと思うんだけど・・・」
「俺はこっちのほうが好きかな〜」
そんなことを話しながら、俺達は雑誌を広げる。
俺達は両方の親に何もかもを話し、承諾を得た上で同じアパートで暮らすことが決まっていた。
「佳織がひとりだと心配だから丁度いい」
「賢がひとりだと外食ばかりになるから丁度いい」と、両親も大賛成。
小さいうちから家族ぐるみの付き合いしててよかった・・・。
さすがに同棲まで申し出る勇気は出なかったので、
できるだけ近い部屋にしようということになった。

「わぁ、ここが私の新しい部屋かぁ〜!」荷物を置いて、佳織が言う。
「まえ一回見に来ただろうが、そんな感動すんなって(笑)」と俺。
「そういうことをいわないでくださいー」と俺に詰め寄る。
「わかったわかったって。さっさと荷物片付けろよ。
俺は自分の部屋の荷物片付けてくるから。」
「は〜い。」
俺の部屋は、佳織と同じ階の、3つほど隣だ。
その日の夜、俺は佳織の部屋で、飯を食った。
もちろん佳織のお手製。ロールキャベツ、
鮭のムニエル、スイートポテトが、新しいテーブルに並ぶ。
「おいおい、めっちゃ豪華じゃんか。毎日こんな料理作ってたら
金いくらあっても足んねーぞ?」
「今日だけに決まってるでしょ!明日からは節約生活だよ(笑)。」
これからのことについて、俺達は美味い飯を食いながら色々語り合った。
もっと読む
もっともっと読む
もっともっともっと読む

ケータイ官能小説トップ




その買うを、もっとハッピーに。|ハピタス



Total:2880
今日:1
昨日:1

お問い合せ

違反を通報する
[編集n] [新規n]

無料ホームページ作成
Life Space