妹が風邪をひいた
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「ホントにあんたが帰ってて良かったわ。お母さん、今日の会議はどうしても休めない の。おかゆは作ってあるから、頼むわね」
「わかったよ、母さん。佑香のことはまかせて」
 玄関先で、隆史は答えた。
 冬休みがあけて、中学校が始業式の日、妹の佑香が風邪をひいて寝込んでしまったの だった。帰省中の隆史は下宿に帰るのを遅らせて、妹の看病兼留守番を引き受けるこ とにした。

「佑香も、がらじゃないのに長風呂なんかしてるから、風邪をひくんだわ」
「まあ、あいつも年頃になってきたんじゃないかな。今日から学校だからきれいにした かったんだろう」
「うーん、あの子も色気づいてきたのかしらね。じゃあ母さん行ってくるわ、お兄ちゃ んなんだから、ちゃんと妹のこと看病してね。遊びに行ったりしちゃダメよ」
「わかってるって、いってらっしゃい」
 バタン!
 ドアが閉まり、母が出ていく。
「さてと……」

隆史は本を抱えて、妹の部屋に向かった。

「うーん、うーん」
 佑香は自分の布団で、うなっていた。
「大丈夫か?」
 隆史がそっと声をかけ、頭の上のタオルを水でしぼる。
「あ……おにいちゃん、ありがと……」
「兄妹じゃないか、気にするなよ」
「ごめんね……ほんとは今日帰るんだったんでしょ……」
 すまなそうに佑香がつぶやいた。
「いいから寝てろって。せっかく帰ってきたのに、お前の顔ゆっくり見てなかったから な。今日はおにいちゃん、ずっとそばにいてやるから」
「うん……」
 佑香が弱々しく、それでも精いっぱい微笑んで目をつむった。布団をかけ直してやる と、こもっていた少女の匂いが、ふわっと漂った。

背中まで伸ばした栗色の髪が、汗で顔にまとわりついている。隆史は前髪を指でそっ とよけると、まじまじと妹の顔を見つめた。
(やっぱり、佑香、かわいいよなあ……)
 大きな目、細い眉、小さい鼻、すべすべの頬、柔らかく、愛らしい唇。まるで、キス を待っている眠り姫のよう。
 寝顔を見つめているうちに、隆史の顔はだんだんと吸い寄せられ、思わず唇が触れそ うになった。
(いかん、いかん……風邪ひいてる妹に、こんなことをしちゃ)
 隆史はあわてて離れると、持ってきた本を読み始めた。

「おにいちゃん……」
「ん?」
 しばらくして、佑香のかすかな声が聞こえた。
 のぞき込むと、唇が乾いて、大きな瞳がうるんでいる。少し熱があがったのかもしれ ない。隆史は妹に体温計を渡した。
「大丈夫か? なんかして欲しいことあるか?」

「あたま痛いし、苦しくって、眠れないの……なんとかして」
「うーむ……」
 赤い顔をして、息づかいも荒い。体温計を見るとと三十九度もある。
 隆史は濡れタオルを絞りながら、自分が風邪をひいた時のことを一生懸命に思い出し ていた。俺が苦しんでた時、母さんは何をしてくれたっけ……
「そうだ、佑香、熱冷ましの座薬入れてやろうか?」
「……うん」
 思いつきを口にして、妹が素直にうなずいたので、かえって隆史は心配になった。
「で、でも、いいのか……その、座薬入れるって言うのは、その……」

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