お兄ちゃんの馬鹿
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「んっ?何だ?」
俺が呼び掛けられた方を振り返るとベットの上に上半身だけ起して座り、
目を泣き腫らした妹が黙って俺の方をみつめていた。
流れてた涙も止まり、さっきまでの怒りに満ちた表情ではなく例えようがない
表情でこっちを見ていた。それは過去に1度も見た事がない表情だった。

俺は妹の表情が多少気になったものの、迷うことなく妹の傍らに歩み寄った。
「どうした?」
俺はまるで大人が泣いてる小さい子供をあやす時のように妹に語り掛けた。
妹がまだ子供の頃、こんな風によくあやしてやった。その妹も今は大人だ。
俺の問い掛けに妹は俺から視線を反らし、やや下を向いてうつむいてから
つぶやくように答えた。
「お兄ちゃん、彼女いるの?」

俺は妹からのごくありふれた普通の質問に意表を突かれてしまい無意識の内に
身体に力が入ってしまっていたのだろうか、何となく気持ちが切れてしまった
ような錯覚に襲われてしまった。俺としては意識してないつもりだったのに。
妹はそんな俺の気持ちなど知らないと言わんばかりに言葉を紡いだ。
「彼女いるの?いないの?」と。
その頃の俺には彼女呼ぶ者は存在してなかった。つい最近まで交際してた女に

振られてしまって誰も住んでない全くの空家状態であった。
「あぁ・・・彼女はいない。女とは別れたんだよ」
「・・・そっか」
その時、俺の答えにあいつがどう思ったのか、どう感じたのかは今になっても
分からない。それでも俺達は自分でも気付かぬ間に前に進もうとしていた。

 
あの時、俺は「彼女はいるよ」と言うべきだったのだろうか?
俺は今でもこう思う事がある。それでも俺はそれを口に出して言う事はない。

「お互いに連れ無しかぁ。まぁ、何とかなるだろう」
俺はそう言いながらベットに腰を下ろした。妹の部屋に漂う化粧品の甘い香りと

相反するアルコール臭が鼻を刺激した。妹は相当酒を飲んできたに違い。
1メートル強離れてても酒に匂いがする。そんな中で俺はふと思った事がある。
何気に妹の部屋に入ってきたものの考えてみれば久しぶりの事だった。
俺達兄妹は昔から仲が良い方ではあったがいくら仲が良くてもそれはそれ。
お互いの年齢が高くなるに従って兄と妹としての会話も少なくっていた。
「彼女って、何かあるの?お前に関係があるのか?」

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